肩甲骨打法超入門
2007年1月18日 不動点

肩甲骨打法とは,特殊なものではありません.従来使っていた筋肉にプラスして,従来の打法では利用していなかった肩の後ろ(肩甲骨)周りの筋肉を有効利用する打法です.従って,よっぽど特殊な打法をしている人を除いて,殆ど全ての人にとって有効です.むしろ,この打法を使わないということは,使える筋肉を使わないということであり,大きな損失です.たとえて言えば,手首の筋肉を使わないとか,腕を折りたたむ筋肉を使わないといったことに相当します.しかし,利用できる筋肉の量や質を考慮するともっと重大かも知れません.日本卓球が世界の水準から大きく置き去りにされたのは,「皆で弱ければ怖くない」と,この打法を無視してきたからと言っても過言ではないと思います.卓球王国2005年7月号などで高島規郎さんが詳しい啓蒙記事を書いて下さっているので,そこでの写真を利用して,超入門的解説をします.

まず,肩甲骨とその周辺の筋肉は下図の通りです.



図1 肩甲骨と周辺の筋肉(後ろから見た状態)

従来打法でのスウィングは「手首を返し,肘を折りたたみ,腰を回転させ,膝をのばし,つま先で床を蹴る」という動作を同期を取りながら一気に行いますが,肩甲骨打法では,これに「肩甲骨を外転させる」という動作が加わります.肩甲骨の外転とは,肩甲骨周辺の筋肉を使って,肩甲骨を外側に思いっきりずらせた状態です.身体の外から見ると,下図の左端の写真 (右肩に注目!)が,肩甲骨が外転した状態です.一方,下図の右端の写真のように,肩甲骨を背骨にピタリと寄せた状態を内転と呼びます.


図2 外転(左端)と内転(右端)

打球する際のテイクバックでは,肩甲骨を下図のように内転させます(右側の肩甲骨を背骨に寄せる). この際,左側の肩甲骨は外転させておき,スウィングが終わるまで外転状態を保つこと(図2の真中と左端の写真の左肩と左手の位置に注意).


図3 肩甲骨打法のテイクバック(肩甲骨を背骨に寄せる)

テイクバックで内転させた肩甲骨を,周辺の筋肉を使って,一気に外転させて打球します(従来使っていた筋肉は勿論そのまま使う).即ち,肩甲骨打法でのスウィングは「手首を返し,肘を折りたたみ,肩甲骨を外転させ,腰を回転させ,膝をのばし,つま先で床を蹴る」という全動作を同期を取りながら一気に行います.ちなみに,バックハンドの場合は,肩甲骨の動きは,外転した状態から内転へと逆になります.肩甲骨打法は,従来の打法に肩甲骨の動きを追加するだけですから,肩甲骨が少ししか動かせない場合でも,有効です.

ここの説明でもまだ肩甲骨打法が分らないという人は,卓球王国2005年7月号の「肩甲骨打法を極める」を見る事をお薦めします.また,肩甲骨打法を更に有効にするためには,肩甲骨周りの筋肉を柔軟にし,かつ内転や外転の動きを大きくかつすばやく出来るように訓練する必要があります.例えば,下図のように肩甲骨の動きを意識した腕立て伏せは簡単な訓練法の一つです.これは,肘を曲げた時には肩甲骨を内転させ,肩甲骨を外側に開きながら,その力を利用して腕を伸ばします.


図4 肩甲骨の動きを意識した腕立て伏せ

肩甲骨周りの筋肉の訓練法は下記サイト参照:
水泳用トレーニング法 http://homepage2.nifty.com/style1/kaisetsu03-15.html
フラメンコ教室 http://www.tete.vc/advice/
 

肩甲骨打法とは何かということを話しに聞いただけでは、実践する上でいろいろと困難があります。そこで、私がお薦めの方法は、明治大学平岡監督の提唱されている「スパイラル打法」です。これは、打球の際にスパイラルと言う動作を入れると自然に肩甲骨打法が実践されるものです。下記サイトには多数の有益な動画が掲載されており、それを見てスパイラル打法を習得することが可能です。ただし、動画の閲覧は有料で、一ヶ月見放題で1000円かかります。感の良い人ならば、一ヶ月でスパイラル打法の本質を理解することが可能と思います。私も人から話を聞いてこのサイトを知り、大きな感銘を受けました。
http://www.shands.jp/keyword/spiral
http://www.myshands.jp/top/

スパイラル打法(平岡打法)を習得すると、下記ビデオのように打つことができます。下記ビデオの平屋コーチのバック側ラバーは粒高です。裏ソフトでも粒高でも同様に打てるのがスパイラル打法の特徴です。
http://d5f8dr1gz94y6.cloudfront.net/wp-content/uploads/2015/09/f89a2fc064c1d4f5ab19a0b3a5798a9a.mp4

 

 


 

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